世界30億人に通行制限…スペインの死者数は中国超える

ヨーロッパではイタリアに続きスペインも新型コロナウイルス感染症による死者の数が中国を超えた。現在、全世界で30億人が通行制限による影響を受けており、今後も実施する国が増える事で更なる人数が影響を受けるとみられる。
AFP通信やウォール・ストリート・ジャーナルなどの海外メディアによると現地時間25日、ジョンズ・ホプキンズ大学の統計を引用し、スペインの死者数が3434人となり中国の死者数を超えたと報じた。25日時点で現在、世界の感染者数は45万8000人以上。
ここ2週間で感染拡大のスピードが最も早かったスペインでは、25日の1日だけで738人が死亡し、通行禁止は更に15日間延長すると伝われている。現地の状況は相当に悪く、高齢者が養老院で放置され亡くなった状態で発見されるケースもあり、医師や看護師など医療陣の10%が感染しているとも報じられている。
病室不足解消に向け、首都マドリードのホテルやコンベンション・センターに5000人を収容出来る臨時の病院が設けられた。また死者が急増した事で霊安室が不足し、スケート場に臨時の霊安室が設置された。対応が急がれるスペイン政府は中国から医療装備4億3200万ユーロ(521億7600万円)分を購入する事を発表した。
新型コロナウイルス感染症の死亡者が世界で最も多いイタリアもこの日1日で683人が亡くなり、これまでに7503人が命を落としている。
米国では感染者がニューヨーク州をはじめとして6万人を超えており、860人以上が死亡したとの集計が出ている。ニューヨークの感染者は米国全体の半分以上となる3万811人で、最近検査数が増えた事で感染者の数も急増している。特にニューヨーク市で感染者が集中的に発生しているため、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は不足している病室への対策として、大型イベントなどで使用されるマンハッタンのジャヴィッツ・センターやホテル、かつての養老院などを臨時の病院として使用する事を検討中だ。
ニューヨーク市が事実上機能停止しているにも関わらず感染者が増えているのは公園などの施設が密集しているためで、クオモ州知事は一部道路の車両通行を禁止し、市民らが徒歩で行き来出来る様に空間を確保する措置を取った。
クオモ州知事は入院患者増加の流れが多少落ち着いて来たと、通行制限の効果が現れたと話している。また米国で一番最初に隔離を実施したウエストチェスター郡の状況も好転していると話した。
しかし通行制限を実施する州も増え、この日はアイダホ州とミネソタ州、米国領プエルトリコでも住民らを自宅に留まる様にする措置が取られた。
初期に感染が拡大したものの現在では落ち着きを見せている中国や香港、台湾、シンガポールでは最近、帰国者らの間に感染者が急激に増加しており、再び緊張が高まっている。
インドは26日からの3週間、世界の人口の1/5に該当する13億人に対し通行制限を実施する。ロシアも死亡者2人が出た事で措置を検討中である事が報じられている。
アフリカは54ヶ国中、43ヶ国で2046人の感染者が確認されており、南アフリカ共和国では今月24日の1日だけで554人の感染が判明し、27日からは通行制限が実施される予定だ。
WHOのテドロス事務局長は新型コロナウイルス感染拡大防止に向けた各国の通行制限措置を歓迎しながら、早急に解除する事に対しては警告している。また「全ての国家が学校と事業所を再開し、再拡散により再び閉鎖する事は望ましくない」と話している。
国連のグテーレス事務総長は「新型コロナウイルスは人類全体への脅威であり、向き合い戦わなければならない」と、「世界の貧困国のために20億ドルの基金の募金を開始する」と話した。また「世界的な行動と団結が必須だ。国ごとの対処では十分でない」とも話している。
翻訳:水野卓
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