金融緩和10年…米経済好況の影で負債にあえぐ新興国

金融緩和10年…米経済好況の影で負債にあえぐ新興国

-米18%成長、失業率も最低
-中・印でも倍以上の経済成長、伯・露は変化なし
-問題は巨額負債…10年続く超低金利時代の影
-世界的負債額2京7600兆円…また別の金融危機憂慮
-企業ランクにも変化…エネルギー関連企業に打撃
-1・2位のエクソンモービル&ペトロチャイナはApple・Amazonに座を譲渡

世界金融の中心である米金融街のお粗末なシステムが露見した2008年。ウォール街に端を発した衝撃に、国際金融市場は呆気なく崩壊した。

あれから10年が過ぎた現在、世界経済はどれだけ変化したのだろうか。悪化した景気を蘇らせるために金利を急激に下げ債権を購入するなど、各国の中央銀行が類を見ない大規模な金融緩和政策に乗り出した。その結果、世界経済は一見落ち着きを取り戻したかのようにも思える。しかし今後また別の危機的状況が訪れた際、前述のような対応では不十分ではないかとの声が専門家達から上がっている。

■堅固な成長、労働市場も改善
低金利や金融緩和政策により、各国の経済はより堅固になった。ブルッキングス研究所が最近公開したレポート「金融危機後の10年:不均等な改善と一部構造的断絶」によると、米国の実質国内総生産(GDP) 増加率は、現在18%と危機以前の水準に回復した。新興国では中国やインドが大きな成長を見せている反面、ブラジルやロシアはほぼ改善が見られない。1人当たりの実質GDP基準では、ドイツと日本の成長率が特に目立った。

労働市場も改善した。米国の失業率は2008年の10%から現在は4%以下にまで低下した。一方で雇用率は6.6%と危機以前より下回っている。ドイツ、日本などその他先進国の雇用率は、危機以前の水準を上回った。実質賃金は、ほとんどの先進国で非常に緩やかではあるが上昇している。

特筆すべきは、実体経済と株式市場の連結性が低下したという点だ。米国をはじめ、大部分の先進国での証券市場上昇率は経済成長率より高かった。ドナルド・トランプ米大統領が主導する世界的な貿易戦争と政治不安、地政学リスクなど外部の衝撃にも、先進諸国の証券市場は大きな影響を受けていない。このような特徴は各国家間にも現れている。中国とインドはこの10年間、2倍超の経済成長を見せた一方で米国は18%にとどまってはいる。しかし、証券市場の上昇率では米国が他国を大きく引き離した。

■変わりゆく世界、副作用懸念も
米国を中心に回復期へ突入した世界経済だが、予測の範疇を超えた副作用が懸念される。

まず、史上最大規模に膨らんだ巨額負債が、また別の金融危機を引き起こしかねないといった不安が頭をもたげている。

ここ10年続いた超低金利時代に、各国の企業は小額の借り入れを重ねて負債を大幅に増やし、また政府も財政政策で景気を支えてきた。その結果、世界的な負債額は今年の第1四半期で247兆ドル(約2京7600兆円)と、史上最大を記録。10年前に比べ70兆ドル以上増加しており、この第1四半期だけでも8兆ドルの増加だ。

各国の家計非金融企業、そして政府の負債額を合わせると186兆ドル規模まで膨らんだ。世界的に見たGDP対比負債比率は、2008年の200%から昨年末は244%と上昇している。

中でも中国は、こうした負債爆弾により多大な犠牲を受けている。輸出中心に経済成長を果たしてきた中国だが、世界的金融危機により足元がぐらつき、中国政府は2008年に4兆元を投入し対応を行った。その結果、GDP対比総負債額は2008年の第4四半期の171%から2018年の第1四半期には299%へと急騰し、過剰生産と成長減速という問題に繋がることとなった。

世界的金融危機により、商品輸出国とエネルギー関連企業も打撃を受けた。世界最大の輸出国である中国の成長が鈍化すると、世界中で商品需要が減少。その結果ブラジルやロシア、インドネシアなどの輸出国が影響を受け、商品市場に対する投資家の関心も減っていった。

最大手企業のリストにも変化があった。2008年9月時価総額基準で世界1~2位を占めたのは、エクソンモービルやペトロチャイナなどのエネルギー企業であったが、現在は1~3位をApple、Amazon、AlphabetなどIT企業が独占している。

所得格差が深刻化する中、欧米の民主主義政権がこれの解決に失敗し、またイタリアなどでポピュリズムが勢力を得て世界的に政界が揺るがされていることも金融危機の産物であると言える。

翻訳者:M.I
info@fnnews.jp

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