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スターバックス、真の目的はビットコイン銀行

スターバックス、真の目的はビットコイン銀行
昨年8月、スターバックスがICEのBakkt(ビットコイン先物取引などを行うことができるプラットフォーム)にパートナーとして参入すると発表した。これを受け、業界では「スターバックスでビットコイン決済が導入されれば、ビットコインの大衆化が加速する」と期待感が高まっていたが、スターバックスはさらにその先を見据えているのかもしれない。その先とはずばり、銀行の経営だ。一般の銀行に比べ低価格で迅速なグローバルサービスを提供し、週末や夜間にも営業を行うビットコイン銀行。
ICEはなぜ、マクドナルドやウォルマートではなくスターバックスを選んだのだろうか。その答えはスターバックスの携帯アプリにある。アプリではスターバックスカード(プリペイド式カード)のオートチャージが可能であり、利用頻度の高い顧客は進んでこれを活用している。
驚くべきは預金額の規模だ。ウォールストリートジャーナルとS&Pグローバルマーケットインテリジェンスの調査によると2016年の預金額は12億ドル(1.3兆ウォン)で、一部の銀行をも上回る水準であった。しかしそれだけではない。米国で最も多くのユーザーを抱えるモバイル決済会社は、アップルやグーグル、サムスンではなくスターバックスなのだ。
世界各国に店舗を構えるスターバックスは、様々な通貨で積み立てられたチャージ金をどうにかして運用したいに違いない。地方銀行は顧客の預金で融資を行い、利息で経営を維持している。それより遥かに大きい規模のインフラを備え十分な資産も持つスターバックスが、飲料の販売だけにとどまっているのもおかしな話だ。銀行事業への参入を目論むのはごく自然な流れだろう。しかし、通貨の多様化や銀行のローカル化傾向は、スターバックスにとっては制約として働いてしまう。この問題を解決してくれるのが、ビットコインである。
世界の人口のうち17億人は銀行口座を持たず、うち2/3は携帯電話を持っている。特筆すべきは、銀行のインフラが整っていない地域は法定貨幣の価値も不安定なため、仮想通貨がより好まれているという点だ。
中南米や東南アジアは、スターバックスにとって好条件が揃っている。昨年10月、スターバックスはアルゼンチンの地方銀行「Banco Galicia」と提携を結び、銀行支店をオープンさせた。アルゼンチンをはじめ中南米地域は、ビットコイン人気がとりわけ高いことで知られている。
2019年1月、スターバックスの創業者であるハワード・シュルツが米大統領選への出馬を検討していると表明した。仮にスターバックスがビットコイン銀行の設立を計画しているとすれば、彼の当選は仮想通貨の法律規制の緩和に繋がるだろう。表向きは仮想通貨やブロックチェーンがもたらすメリットを前面に押し出すつもりだろうが、実際にはスターバックスの更なる成長のため、というのが本心であろう。企業家による政治進出の裏には、何らかの明確な意図があるものだ。
スターバックスがビットコイン銀行の設立を実現すればまず、預金金利が低くインフラも不十分な地域に住む顧客を獲得できるだろう。資本額およびインフラの面で及ばない多くの銀行は、これにより相当な打撃を被ることになる。韓国や日本の銀行も例外ではない。
もし今後、スターバックスが銀行に勝るサービスを提供、そして膨大な資本を動員して高金利を提示してきたとする。すると顧客はますます集まり、預金額も雪だるま式に増加するだろう。さらに資本規模を拡大したスターバックスは、銀行だけでなく資産運用、証券、保険など仮想通貨に特化した各種の金融事業にも着手するかもしれない。
残念なことに韓国や日本の金融産業はスターバックスをライバルとは見ておらず、どこか危機意識が欠けている。世界的なビットコイン銀行が発足すれば、小売金融に地殻変動が起きることは容易く予想できるにも関わらず。
銀行は収益の大半を純金利収入に依存しているが、このような構造はいつ崩壊してもおかしくない。警戒すべきはフィンテック企業ではなく、スターバックスのような仮想通貨活用計画を持つ海外のフィンテック企業だ。今こそ「城を築いた者は滅亡して、道を行く者は繁栄する(筑城者亡通路者兴)」の格言を胸に刻まなくてはいけない。
翻訳者:M.I